Kindle Unlimitedの対象になっていたときにダウンロードしていたものを読み終わりました。
あらすじ
櫛森秀一は母と妹と暮らす17歳の高校生。平穏な生活を送っていた櫛森家に、曾根という男が転がり込む。家族を守るために曾根という男を家から追放するにはどうすればいいのか考え、昔祖父や母がお世話になった弁護士に相談してみるも、話し合いが成立しない相手には通じなかった。そうして、「これしかない」と考え出したのが曾根の「強制終了」=殺人だった。
あくまでも家族を守るためという理由で行う殺人。殺人犯として逮捕されてしまっては家族を守るどころかマスコミやネットで攻撃されてしまう…それを避けるために完全犯罪を行わなければならないと心に決め、計画と実行を決める。
本の説明
1999年出版 貴志祐介のミステリー小説です。倒叙ミステリーという、犯人目線のミステリー小説になっています。
2003年に映画化されており、映画はAmazon Prime Videoでも視聴可能です。(2022年11月19日時点)
2022年には舞台化もされています。
感想
この小説の著者である貴志祐介さんは、個人的にはホラー(苦手です)のイメージが強く避けていました。偶然Kindle Unlimitedの対象になっていたのでミステリーなら…と初めて読んでみました。
高校生活
秀一はロードバイクで通学しており、江ノ電を横目にロードバイクを漕いで風を切る気持ちよさが描写されています。遅刻しそうになって飛ばしたりするのは、学生あるあるではないでしょうか。高校生活の描写では、自分自身の高校生活を思い出したような懐かしい気持ちになりました。
完全犯罪
一方で、完全犯罪の準備を進め実行するシーンでは、ハラハラドキドキです。
正直、家族に平穏を取り戻すための別の方法があったのではないかとも思いましたが、家族を守るためになんとしても計画を成功させなければならない秀一の成功を祈らずにはいられず、ヒヤッとする場面では鼓動が早くなり、手に汗握るスリルを感じました。秀一の緊張感がひしひしと感じられで、ついつい自分自身の体にも力が入ってしまいました。
ラストシーン
その時々で最善の方法を考えてきた秀一でしたが、人生はやり直しがきかないため「これが本当に最善の方法だったか」は知る方法がありません。家族を守るためにやってきたこと、本当は意味がなかったのではないかと思いを巡らせるシーンでは胸が苦しくなりました。
物語が終わる直前に、秀一はある人に会いに行きます。このシーンでは、ある人の秀一への想いに涙してしまいました。結末は書きませんが、読了後は何とも言えない気持ちになりました。
まとめ
貴志祐介さんの作品は初めてでしたが、秀一の心情が細かく描かれていて感情移入してしまいました。
中盤以降は、続きが気になってそわそわしてしまい一気読みでした!
感情移入しすぎて疲れたので、次はほんわかする小説でも読みたい気分です。